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映画「おくりびと」 [芸術]


第81回アカデミー賞(外国語映画部門)受賞作品を観に行ってきました


この映画は、観客に緊張感を与える納棺という場面からスタート。

遺族の前で、ご遺体を浄め、旅立ちの衣装に手際よく着替えさせるシーンは、驚くほどの張り詰めた空気を感じ、映画の中に引き込まれていきました。

最近では家族が病院でなくなると、看護師さんたちがその場で処置を施して下さり自宅に戻ることが多くなったので、湯灌を自宅で行うことが少なくなったのだと思います。

私も、この映画が話題になるまで、「納棺師」という職業があるということを知りませんでした。

「死」は、世界に通じる普遍的なテーマです。

しかし、それぞれの国民、個人がもつ宗教観によって、生や死に対する考え方は違います。

日本人が大切にしている“命の尊厳”を、この映画は繊細に表現しているのではないでしょうか。

主演の本木雅弘さんの透明感のある演技、山崎努さんの重厚な演技が、いつまでも余韻として心に沁みる作品になっています。

湯灌や納棺は、身内が旅立つ時にしか体験できない、他と比較することのない儀式です。

この映画のおかげで、その儀式の意味を深く理解し、きちんと受け止め、見守ることができる日本人に少し近づけたような気が致します。

「おくりびと」この映画の題が、英語では「Departures」となっています。

日本人の思う感覚と、英語圏の人々の感覚の大きな違いを、この題名で感じてしまいます。

いずれにせよ、アカデミー賞を受賞したことによって、日本人の心を諸外国の人々に理解していただけるチャンスが巡ってきたことがとても嬉しいことです。


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コメント 19

向日葵

発表当時から妙に気になって、「なんとか見たい!」
と、思い続けていた映画です。

そ、それがなんとアカデミー賞!?

やはりなんとしても見に行かなくては!!



我が身ながら自分の自由にならない昨今、どうやって
見に行く時間をひねり出そうか、あれこれ画策してみます。

(行くぞ!絶対! オー!)
by 向日葵 (2009-02-25 00:45) 

SUMAKO

向日葵さま
是非、映画館でご覧下さい。
すこぶるまじめなのに笑ってしまう場面もあります。
でも、しんみりと涙が出てしまうシーンも。

私はいかにも“お涙頂戴”のような作品が苦手ですが、この映画はそれとは違う、上質な涙が。。。。おすすめです。
by SUMAKO (2009-02-25 00:54) 

すずか

母は自宅で息を引き取り、そこでお医者様に診断していただいたので、目の前で看護師さんが清めてくださる様子や納棺師さんのお仕事を見せていただき、療法とも参加させていただきました。
母のよく着ていたよそ行きの服に、大島紬の生地(作れなかった・・)をかけさせていただきました。
空気がピーンと澄んだ感じでした。

記憶がまだ生々しくて、この作品を見るのはしばらく後になりそうですが、必ず見るつもりです。


by すずか (2009-02-25 12:30) 

marilyn

こんにちは~。 日本映画、快挙でしたね!
私も、ママミアの前の映画のところで以前、アップしました~
私もお涙ちょうだいは嫌いですけど、この映画はそういうのじゃなくて
気持ちよく泣ける映画。
普通の人々の生き方を凝縮したような映画でしたね。
家族、友達、仕事、夫婦・・・
いかに生き、いかに死ぬか…とても考えさせられました。
もうひとつの”つみきのいえ”?でしたっけ。 あれも、ちょっと見ただけでも
泣けてきそうなほど、純粋な、心洗われるアニメのようですね。
手書きというところも素敵。いまのCGは、私は、苦手です。
by marilyn (2009-02-25 17:42) 

miopapa

この映画のことは、
見に行ったときの予告なんかで知り、絶対にみたいと思っていたのですが、封切り直後に父が亡くなり、間近に父の旅支度の様を見、
どうしても重なるような気がして、親孝行すらしなかった後悔もあり
子供の頃からの父とのふれあい一つ一つが思い出され
辛くて見ずに終わってしまいました・・・
     この後も、TVなんかて見られるのか、迷っていますか・・・
 
by miopapa (2009-02-25 20:03) 

ララアント

おこりびと・・・観たいと思ってはいましたが中々行けずに
いました。
今日 半年ぶりで電話で話した友人が 「マンマミーア」を
観に行ったら 同じところで「おくりびと」もやっており お昼に
夜の部まで完売って言っていたと。
その彼女は 「おくりびと」 「ベンジャミン バトン」も すでに
観ているようでした。
来年 17回忌を迎える 母と姉の湯灌に立ち会っています。
その時の方が「納棺師」だったのですね。
「おくりびと」・・・Departures・出発とか言っていましたね!
by ララアント (2009-02-25 21:58) 

わか

ロスのホテルで、今か今かと待ちわびるスタッフが、
Departures JAPANの一声で、
歓喜に沸き立つ様子をTVで見て、思わずこちらまで涙が。
ほんと、良かった。 バンザーイ!
by わか (2009-02-25 22:02) 

SUMAKO

すずかさま
お辛い時期とこの映画の封切りが重なってしまったのですね。
ご自宅でご家族に見守られての旅立ち、お母様はとてもお幸せだったのではないでしょうか。
素晴らしい映画だと思います。
いつか是非、ご覧いただけたらと思います。
by SUMAKO (2009-02-26 03:22) 

SUMAKO

marilynさま
本当に、書いていただいたとおりです。
納棺師についてはもちろんですが、普通の人の、普通の人生、それがどれだけ大切なものなのか、しみじみと感じ入る作品でした。
だからこそ、今回の受賞となったのでしょう。
「つみきのいえ」も、まだ断片的にしか観ておりませんが、1度ゆっくり鑑賞したいと思っています。美しい、繊細な作品のようですね。
私も、CGを駆使した作品には違和感があります。
by SUMAKO (2009-02-26 03:25) 

SUMAKO

miopapaさま
二人の祖母、3年前に亡くなった義父、そして先日の叔父のことなど思い浮かべながら映画を観ました。
miopapaさまのお心をお察しいたします。
でも、この映画を観て、改めて日本人にとっての命の尊厳、死とは何かなど考えることができたように思います。
一人ひとり、感じることが違う作品だと思います。
いつか是非。

by SUMAKO (2009-02-26 03:29) 

SUMAKO

ララアントさま
受賞直後の今、映画館はとても混雑していると思います。
お忙しい毎日にお出かけになるのは大変ですね。
TVでも上映すると思います。
是非一度ご覧下さい。
身近な人を見送った経験がある方は、しみじみとその意味を再確認できることと思います。
良い作品です。

by SUMAKO (2009-02-26 03:32) 

SUMAKO

わかさま
日本映画の質が、最近向上してきましたね。
心のうちを静かに描いた今回のような繊細な作品。
海外の多くの方にご覧いただき、日本人のことを理解していただけたら嬉しいです。
by SUMAKO (2009-02-26 03:34) 

mimimomo

こんにちは^^
 この映画のことは上に書いていらっしゃるmarilynさんの所で知ったと思います。
 やはり3歳のときに母をなくしそれ以来父や姉、兄、そして息子と旅立たせてきたわたくしには
 あまり見る気がしない映画ですね~ ただ恐らく映画としての芸術としての完成度は
 素晴らしいものがあるのでしょうね~
by mimimomo (2009-02-26 10:38) 

袋田の住職

私も死者を送る仕事をしているのでとても興味があります。
まだ、観る機会はないし、
なぜか、今すぐみようとも思っていないのです。
by 袋田の住職 (2009-02-26 21:27) 

SUMAKO

mimimomoさま
身近な方とのお別れをたくさん体験なさっていらっしゃるのですね。
コメントしていただいたように、世界が認めた映画作品として観る、というのもひとつの方法かと思います。
これまでアカデミー賞を受賞した作品を見てきましたが、心に残るものが幾つもあります。外国の文化、宗教の違う民族の考え方、価値観や視点の違いなど、映画を通して知ることもあります。
そういった意味で、今回の作品は価値のある作品なのではと考えます。
by SUMAKO (2009-02-26 23:48) 

SUMAKO

袋田の住職さま
私の父方の祖父も、住職でした。
生きていれば同じことを言っているかも知れません。
冠婚葬祭の儀礼、儀式をどんどん簡素化している昨今、昔から受け継がれている大切なものを、今回のように映画にして再認識し、後世に受け継いでいくこともひとつの方法かと思います。
by SUMAKO (2009-02-26 23:51) 

joan

みなさんのコメントを拝見しまして、これからは邦画もたくさん観てもらえるようになると期待します^^。
「おくりびと」以外にも去年は邦画の当たり年。
いや、これからはそれが当たり前の日本映画会になっていくことでしょう。
さて、本木さんのお陰で、娘も友達に「わたしの父さん納棺師だよ」といえるようになりました。
葬儀屋はみな納棺師なんだけどね。
最近、納棺師になりたい方が増えているようですが、
ご遺体の状態は様々で映画のようにはいかないことを忘れないでほしいです。


by joan (2009-02-27 13:47) 

SUMAKO

joanさま
そうですね、joanさんのご主人はこの映画の主人公と同じご職業でした。
大切なお仕事なのに、今まで脚光を浴びたことがありませんでしたね。
これから、この職業を目指す若者が増えるかも知れませんね。

joanさんのブログを拝見するようになって、邦画の楽しさを再認識し、映画館でも観るようになりました。
「マジックアワー」が私の中で、最近のヒットです。

by SUMAKO (2009-02-28 20:19) 

えだまめインコ

まだ見てないんですよ~
友人の話だと、泣いてみてる人も多かったそうです。
葬儀だけは欧米化しない日本人の原点のような気がしますね。
by えだまめインコ (2009-02-28 20:54) 

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