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2月23日のNHKスペシャル [ブックレビュー]

NHKスペシャル「菜の花畑の笑顔と銃弾」


私が仕事を終えて帰宅するのは、だいたい21時45分頃。

先に帰宅する夫は、私が昼間に作った食事を温め、ゆっくりと晩酌を楽しんでいます。
その後、帰宅した私に付き合って1日の出来事を話しながら2人で夕食がいつものスタイル。

例外を除いて、“食事の時はテレビを点けない”というのが我が家のルールです。


今日は、例外でした。番組は22時からのNHKスペシャル。

アフガニスタンで殺害された伊藤和也さんが遺した3千枚の写真をもとに現地を訪ね、戦乱の地の過酷な現実、国際援助のあり方を浮き彫りにしたドキュメンタリーでした。


【番組の内容はNHKのHPより】
『昨年8月、アフガニスタンで殺害された伊藤和也さん(31歳)。今、ここに彼が撮影した写真3千枚が遺されている。5年に渡り撮影された写真には現地の人々と共に格闘した用水路建設、農作業の苦闘、地元の食事に招かれ共に談笑する姿、そして緑が戻った大地で一面の菜の花を駆けめぐる子供達の笑顔が印象的に写されている。写真に写されたアフガニスタンの人々は今、彼らのために働いた伊藤さんが、なぜ銃弾による非業の死を遂げねばならなかったのか、問い返す日々を送っている。「彼が遺してくれたものとは何なのか」。番組では、遺された写真やメール、手紙などをもとに、写真に写されているアフガニスタンの人々を訪ね、ひとりの青年の軌跡を克明にトレースした映像をもとに、戦乱の地の過酷な現実、救援活動の試行錯誤、国際援助のあり方を浮き彫りにする。なお、現地には外国のメディアは入ることを許されず、今回の撮影映像は、最新の状況を伝えるスクープ性の高いものである。』


貧困のためにケシの花を栽培し、それをゲリラ集団に売り現金を手に入れる生活を続ける農民たちに、サツマイモやブドウの栽培を指導し、生きる喜び、収穫の楽しさを伝える伊藤さんの活動。

地元の農民に家族のように慕われた伊藤さんが、アフガニスタン人に殺害された悲劇。

直接の原因ではなくても、その裏に見え隠れする、日本の米軍への燃料補給など軍事援助。

国際協力のあり方、難しさを根本から考え直さなければ世界の平和などありえないという警告を、伊藤さんが命と引き換えに私たちに伝えているような気がします。


 ++++++++++++++++++

アメリカは国内でのケシの栽培を禁じています。
しかし、トルコとインドでの生産には報酬を与え、パキスタンやタイ、コロンビア、ミャンマー、アフガニスタンでの栽培には制裁を加えています。

ケシから作られるアヘンは、ヘロインの材料にもなりますが、痛み止めのモルヒネも作られます。

十数年前、紅茶の歴史を学んだときにアヘン戦争にぶつかりました。

国を滅ぼす力を持ったアヘンの魅力を知りたくて購入した1冊がこの本です。

     DSC05791.jpg

「アヘン」 ジム・ホグシャー著 青弓社

生活の中で愛用されてきた歴史から、アヘンの効用の化学分析、けしの栽培とアヘン抽出、アヘン茶の楽しみ方まで網羅しています。

実生活に直接役立つ本ではありません。
    (役立ったら困りますね)

しかし、この本を読むと、アヘンと人間のかかわり、その魅力を理解できる、興味深いまじめな作品です。


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コメント 12

mimimomo

おはようございます^^
ほんとうに難しい問題ですね~
国際貢献って一番難しい外交ですよね~
by mimimomo (2009-02-24 05:07) 

marilyn

おはようございます。 このドキュメンタリーの予告しか見ていないですが
子供たち、人々の笑顔が、ものすごくよくて、これを撮った伊藤さんは、皆に
本当に信頼されていたんだろうな・・・と思います。
ひたすらその国のお役に立ちたくて・・と思って行っても、その国のおかれる
状況で、意に反してあんな結果になって、お気の毒なことでした・・・
難しい問題です。
by marilyn (2009-02-24 10:18) 

ララアント

私もこの「番組」は観たいと思いながら 施設で ちょっと身体の筋を
痛めたらしくて 7時のニュースの時には しっかりと覚えていたのですが
10時の頃には何を思ったのか お風呂に浸かっていました。
今 検索したら 再放送が25日の深夜にあるようなので 録画しようと
思っています。
予告の「菜の花畑の少女の笑顔が何とも愛らしく・・・」
伊藤和也さんのような 青年がいたことに 誇りを感じつつも・・・
国際協力って 難しい問題をはらんでいるのですね!
アヘンからも 色々 勉強になりました。
いつもの問題提起 ありがとうございます。


by ララアント (2009-02-24 12:25) 

あらら

番組は見なかったのですが、
その土地の人たちにとって、本当に必要な国際協力って、なんだろうと考えさせられます。
政府のやるような「箱物」の援助より地元に根付いた援助。だけど、志半ばで倒れた彼の遺志が次に続きますように。
by あらら (2009-02-24 20:17) 

向日葵

見たかった番組です。(しっかり見逃しました!)

↑ ララアントさんの仰る「再放送」(25日深夜)
(=2月26日00:45~01:35)は、ワタクシも必ず留守録する
つもりです。
by 向日葵 (2009-02-25 00:03) 

SUMAKO

mimimomoさま
はい、おっしゃるとおり、本当に難しいと思います。
伊藤さんのお葬式には1000人を越える農民が参列しておりました。それでも、アフガニスタン人に襲われてしまったのです。日本人だから。
志半ばで倒れてしまった彼の心を思うと、いたたまれません。

by SUMAKO (2009-02-25 00:17) 

SUMAKO

marilynさま
アフガニスタンに赴任して5年目、伊藤さんは生涯を彼の地で過ごす覚悟も決め、自分の牛(農民にとっては宝)も購入しておりました。
そこまで身も心も捧げたにもかかわらず、国籍は変えることができませんでした。本当に難しい問題です。
伊藤さんだけではなく、おそらく他にもたくさんの方が国際援助協力で危険な地域で活躍していらっしゃるのでしょう。
世界の平和を心から祈るばかりです。
by SUMAKO (2009-02-25 00:21) 

SUMAKO

ララアントさま
身体のお痛みはとれましたか?まずは自分の健康が一番大切です。そうでなければ何もできませんから。

再放送、是非ご覧になって下さい。
アフガニスタンの子どもたち、そして農民と収穫を共に喜ぶ伊藤さんの笑顔がとても素敵です。わずかな食べ物を大切にする心、そのことをこの番組が私たちにメッセージとして送っているような気がします。
そして、世界の平和を一人ひとりが自覚する必要があると思います。

by SUMAKO (2009-02-25 00:24) 

SUMAKO

あららさま
個人が命を捧げてまでも成し遂げたかった目標、その意思が国と国との争いで断ち切れてしまうことに憤りを感じます。
誰一人として争いを喜んでいるものはおりません。
皆が平和と安らぎ、そして実りのある生活を願っているのですものね。
アフガニスタンを一方的にテロ支援国家として標的にするアメリカの考え方にも大きな問題があるように思います。
国際問題は一個人が語れるような簡単なものではありません。
by SUMAKO (2009-02-25 00:28) 

SUMAKO

向日葵さま
内容は大変重いテーマです。
しかし、番組は子どもたちの輝く瞳、明るい笑顔を映し出しています。
人間にとって、ナショナリティーに関係なく、何が一番大切なのかを問いかけている番組だと思います。
お忙しい毎日とは思いますが、是非ご覧になって下さい。
by SUMAKO (2009-02-25 00:30) 

袋田の住職

わたし、薬物乱用防止認定講師なので、
薬物の恐ろしさはよくわかっているつもりです。
覚せい剤・大麻・コカインなどの違法薬物は
人生を破滅させる恐ろしいものです。
絶対に手にしてはいけません。
by 袋田の住職 (2009-02-26 21:30) 

SUMAKO

袋田の住職さま
「薬物乱用防止認定講師」というお仕事を初めて知りました。
薬物に手を出すと、ちょっとでは終わらず、人生を終わりにしてしまいます。
それだけ危険なものですよね。
この本を読むと、化学的に説明しているので、その恐ろしさがよくわかります。
by SUMAKO (2009-02-27 00:55) 

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