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「夕凪の街 桜の国」 [ブックレビュー]

夏が来ると思い出す、祖母の祈り


私は小学生の頃、夏休みになると、母方の祖母の家で過ごしました。

自宅では限られた時間しか見せてもらえないテレビも自由に楽しみ、祖母に編み物、手芸、庭の花の手入れ、料理などいろいろと教わりました。

そんな夏休みの日々の中で、必ず毎年やって来るのが、長崎、広島の原爆の日、そして終戦記念日。

投下された時間に黙祷し、祖母はいつまでも仏壇に手を合わせていました。

戦争について私が聞いても、「みんな、何もかも忘れた」と言って、その頃の話は一切してくれませんでした。

祖母の夫、すなわち私の祖父は、職業軍人でした。

祖母も裕福な農家に生まれ、軍人に嫁ぎ、戦前・戦中は何不自由なく生活をしていたのでしょう。

そして、戦後は相当苦労をしてきたのだと思います。

しかし、それ以上に祖母の心を、戦後、ずっと苦しませてきたのは、戦争で犠牲になった多くの人々のことだったのではないのかと、今になってしみじみと思います。


こうの史代(著) 「夕凪の街 桜の国」は、単なる反戦を題材にしたコミックではなく、世界でたった1国、被爆経験のある日本だからこそ、核、核兵器の問題を改めて見つめ直し、向き合っていくきっかけになる、大変すぐれた作品だと思います。

昨年夏、映画にもなりました。

一度は手にとって読んでいただきたい、すぐれた作品です。

   DSC02964.jpg



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コメント 6

joan

たしか!
映画が作られていたような。
主演は田中麗奈だったと思いますが、違ったかな?

日本はどこに向かって歩むのだろう。
中国を含み脅威な国はありますが、被爆国として世界に伝えるべき事を、忘れてはならないと思います。
by joan (2008-08-12 21:47) 

kiko1578

私もおばあさんにいろんな事を教えてもらいました。
なのに私はおばあさんに何もお返しが出来ませんでした
ずっと後悔しています。
by kiko1578 (2008-08-12 22:56) 

あー

おばあさんのお話、心にしみました。戦争のこと、戦争で犠牲になった方たちのこと、忘れてはいけないですね。 「夕凪の街 桜の国」、いつか見てみたいと思います。
by あー (2008-08-13 11:06) 

SUMAKO

joanさま
はい、主演は田中麗奈です。でも、私は映画は観に行っていないの。

インド、中国、パキスタンなど、核を使ってみたくてうずうずしている国は恐ろしい。北朝鮮だってどうなっていることやら。
書いて下さったように、被爆国として、この核兵器の引き起こす悲劇を、もっと日本は世界に伝えていく必要があると私も思います。
by SUMAKO (2008-08-14 01:20) 

SUMAKO

kiko1578さま
おばあさまに教えてもらったかずかずの大切な事を、自分を取り巻く周りの人に伝えていけばよいのではないでしょうか。
おばあちゃん子の持っている知恵って、素晴らしいものがたくさんありますよね。
by SUMAKO (2008-08-14 01:24) 

SUMAKO

あーさま
祖母にとっての戦争は、語ることも出来ないくらい悲惨だったのではないかと思います。戦後、祖父がなくなった後、全ての財産を信仰宗教に捧げてしまった祖母の姿を思い出すと、切なくなります。
戦争はどんどん遠い時代のものになりつつあります。しかし、決して忘れてはならないことですね。
オリンピックで湧き上がっている世界があり、同じ時間にロシアと戦争をし、殺戮を繰り返している現実があるかと思うと、悲しくなります。

by SUMAKO (2008-08-14 01:28) 

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