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朱鷺の墓 [ブックレビュー]


サモワールそして紅茶がたくさん登場する小説です

五木寛之(著)  「朱鷺の墓」

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年末に本棚の整理をしていて、懐かしい文庫本が目に留まり、約30年ぶりに読み返してみたのが「朱鷺の墓」。

【あらすじ】
舞台は日露戦争下の城下町金沢。
東郭の美貌の芸妓・染乃はあるとき暴漢に襲われるが、金沢に捕虜として滞在していたロシア貴族出身の青年将校イワーノフに救われる。
やがてふたりは恋いに落ち結ばれるが、そのために周囲の偏見と迫害のうちに過酷な運命にもてあそばれる。
第一次世界大戦、ロシア革命、昭和恐慌と続く激動の時代の中で、ハルビン、ウラジオストック、ナホトカ、ソフィア、パリとめぐり日本に戻る。
しかし、安らぎを求めて帰ってきた日本で、一番悲しい運命が待ち受けていた。


「婦人画報」連載途中より話題となり、テレビドラマや演劇にもなった作品です。
実物の朱鷺には関係ありませんが、激しい試練に立ち向かってゆくふたりの愛を美しくはかない朱鷺のすがたにたくして描いた大河ロマンです。

この小説の中で度々登場し、ストーリーに奥行きと趣を与えてくれるのが、サモワールで淹れるルシアンティー。

著者・五木寛之の繊細な心遣いを感じる瞬間です。

ロシア人にとっての紅茶、そしてサモワールの存在と、ロシア貴族出身という階級社会での紅茶の意味を理解するのにとても良い本だと思います。

学生時代にこの本を読んだ時には、サモワールや紅茶のことには一切気づきませんでした。

本や映画の中で、文化を感じる「何か」に注目してみると、別の意味で興味深いものになります。

紅茶に興味のある方におすすめの1冊です。
    
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コメント 11

asayan

『青春の門』など読んだことがあります(中学生だったかな?)。
とても懐かしいですが、彼の作品は奥が深いですよね。
心に染み込んで来る、という感じがします。
by asayan (2009-01-09 01:19) 

ララアント

おはようございます。
五木寛之の小説はあまり読んでいない事に気が付きました。
最近は エッセイばかり 人生の指針を求めて それも同じ年代の友人たちで廻し読みしている状況です。
「四季 奈津子」より 自分には出来なかった"自由"に憧れて
上の男の子たちとは 随分離れて生まれた長女に奈津子と名付けました。
(あらすじがどうだったか イマイチ思い出せないでいます)
「蓮如 われ深き淵より」がかろうじて 一冊残っています。

我がブログので 「定期的にクリニック・・・」で ご心配をしていただき
ありがとうございます。
長年の介護の中 で 私が不眠症にかかり 「睡眠導入剤」を服用しています。「少しの時間でもぐっすり眠らなくては」という所見です。
4年前に施設に入所してからも 相変わらず 緊張状態が続き
私自身も服用に不安に感じながらですが 中々切ることが出来ません。
先生は 10年かかって患ったのだから 回復するのも 10年かかると
・・・そんな事で 定期的に処方をしてもらっています。 
by ララアント (2009-01-09 08:42) 

mimimomo

こんにちは^^
五木寛之さんは何となく親しみがもてる存在です。 出身地が似ているからかも・・・
塩野七生さんとの対談なんかを読んだのや、青春の門ですね~思い出すのは。
時間があったら読みたいと思いますが、今は読みたい本が色々・・・
現在は藤沢周平の『密謀』を読んでいます。
by mimimomo (2009-01-09 12:38) 

miopapa

五木寛之さんの作品の中で
  唯一読んだのが「朱鷺の墓」でした。
     私は、どちらかというと
        初恋の人の影響もあり太宰治ファンでした・・・  
by miopapa (2009-01-09 13:21) 

marilyn

こんにちは。 五木寛之さん、最近はもっぱら、エッセイばっかり読んでいます。こうやって、昔読んだ本を読み返すと、いろいろな再発見があるんでしょうね。朱鷺の墓、母が読んでいたのは覚えているし、あらすじも大体知っているのに、私は読んだか、記憶が定かでない…困ったものです~。
読み返し、私もやってみようかな。
by marilyn (2009-01-09 15:46) 

SUMAKO

asayanさま
「青春の門」や「朱鷺の墓」を発表していた頃の五木氏は、今の作品とはまた違った視点を持っているように思います。
最近の作品も、興味深く読んでおりますが、以前の作品も奥行き、そして無国籍な視点が面白いと思います。
by SUMAKO (2009-01-09 23:20) 

SUMAKO

ララアントさま
五木寛之氏は最近、エッセイが多いかも知れませんね。
「大河の一滴」に私はたくさんの教えをいただきました。
「朱鷺の墓」は、本棚の整理をしていて、おぉ~っと懐かしくなり、このお正月休みを利用して、一気に読み返しました。

年齢を重ねると、体の一番弱いところからガタガタしますよね。
特に、睡眠不足は、体全体の問題にかかわります。良い睡眠を得ることは本当に大事だと思います。
介護の現場は当事者でしか分からないご苦労がたくさんあると思いますが、どうぞお疲れを溜め込んでしまいませんように。
良い睡眠が取れますことを祈っております。
お大事になさって下さい。
by SUMAKO (2009-01-09 23:26) 

SUMAKO

mimimomoさま
私も読みたいい本が山ほど、買って読んでいない本もたくさん・・・ツンドク状態です。
少しずつです。
藤沢周平の時代小説は、あまり語られていない下級武士の苦労などが分かりやすく描かれ、しみじみとした味わいがありますよね。
私は「蝉しぐれ」を読み、そう感じました。テレビドラマや映画では表現できない世界が、文章の中に存在するような気が致します。
「密謀」読んでみようかしら。

by SUMAKO (2009-01-09 23:31) 

SUMAKO

miopapaさま
初恋の方は読書家だったのでしょうか。
太宰治の世界は、五木寛之とは全く違うものですよね。
たくさん作品のある五木氏の小説で、同じものを読んだ経験があると伺い、何だか嬉しいです。
by SUMAKO (2009-01-09 23:33) 

SUMAKO

marilynさま
そうなんです、当時気がつかなかったこと、若くて理解できなかったこと、自分も少し大人になって感じ方考え方が変わり、その本に対する読後感も違うように思います。
どんどん新しい本が巷にあふれているので、どうしてもそちらに目がいってしまうし、話題の作品を読みたいという好奇心もあって、一度読んだ本をもう一度、ということが少ないと思います。
でも、時にはなかなか面白いので、おすすめです。
by SUMAKO (2009-01-09 23:35) 

SUMAKO

sonyさま
ご訪問&niceをありがとうございます。
by SUMAKO (2009-01-09 23:36) 

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